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タイトル・GALARGE : Serial killer-
作者・空き巣薔薇 亮司様
作品アドレス・https://kakuyomu.jp/works/1177354054988695991(カクヨム掲載)
ジャンル・バーチャルゲーム 殺人鬼
■あらすじ
ハードコアVRゲーム『G.O.R.E』で、ガラージは人を殺していた。現実のストレスをゲームで発散する日々。そんな折、魔術師を名乗るキャラクター、エトセラムから交渉を持ちかけられる。
「君うちのチームに入らない?」
こちらは第1章 ヴィルマの殺人鬼 まで読んだ感想となります。
■文章・世界観などについて
プロローグに書いてあるように、ゲームの世界、それも出来るだけ忠実な世界ということで、そこに作者の想像を凝縮しているのかなと思いました。
用語集など作られているので、その点含めて、がんばって作っているのがよく見えます。
作品中
二話について 痛みについては 幻痛というように、きちんと説明して、作られているのがわかります。
六話での戦闘シーンなどはスリリングさがあり、戦闘やリアルさを重視して読ませようという努力がうかがえました。その点は戦闘が好きな人などにはウケると思います。
キャラクターとしてはエトセラムが魅力的だと思いました。
主人公とのやりとりが淡々としているけれども、きちんとゲームの内容を教えて、悪いことをしている大人。それに対して幼いけれども、残酷な主人公が対照的で絵としてはいいと思いました。
■気になった点
大変申し訳ない話ですが、私にはこの作品は読みづらかったです。
理由としては、プロローグが神視点三人称。第一話については、誰かの視線→次は殺される側の視線→最後は殺人鬼の一人称。
決して長くない、短いページで何回も繰り返し行われて正直、集中力が持たない、その場のシーンが理解しづらいため、スマホ、パソコンともに二回以上は読み返しをさせていただきました。
この視線の切り替えにはなんの意味があるのか、読みながら考えさせていただきました。
理由としては
1・いくつもの視線を追うバーチャルゲームの楽しみを味わってほしい
2・いくつもの視線から物語を楽しんでほしい
というものかな、と予想をたてました。
個人的に、視線の切り替えはバーチャルゲームでもあまりないとは思います。なので2かな、と思うのですが、申し訳ないですが、理解しづらい、集中力が切れるというので私はこの点、何度読んでもそのシーンを理解するのに通常の倍の時間を必要として、この作品については少し読むのが苦痛でした。
これについては、作者様の意図した手法が私には合わなかっただけです。
この視線の切り替えでいろんな視線からの読み応えを楽しみたい方などは、楽しむことは出来るとは思います。
世界観の話をすると、こちらのゲームのイメージは「アサジンクリード」のイメージが拝見しました。(世界観集については読んではおりませんので、解釈違いなどあるかと思いますが、大目に見てください)
このゲームはぱっと見たかんじ、HPバーなどが存在しないため、殺しなどがなかなか他者・自分から見て管理しづらいのかな。と読みながら思いました。(二話目・五話目であえて排してる。ゲーム情報については規制されている旨がちょこちょことは出ていますね)
これについては序のところで、あえてゲーム要素を排したと書かれていますが、その意図とはどういうものなのかとずっと考えながら読ませていただいておりましたが、現実に出来るだけ沿わせるためかなと思います。
宗教やシステム面についても、ただそれに魅力を感じるかというと私はゲームをあまりしないのも踏まえて、あまり覚えない。
ゲームとしての利点はストレスを与えつつ、それが押えられる点だと思います。このゲームは説明とルールを知る限り、かなりのストレスがあるように思えたからです。ただ好きな人は本当に好きな類のもので、この点については好みだと思います。
言葉が繰り返されているところを確認しました
第一話のところ
【獅子の如く、這うが如き疾駆(第一話・殺人鬼より引用)】こちらは 如く(き)が表現として多用されているように思います。少し読み手に理解しづらい・リズムが単調になる原因かと思います。
八話目
【「あれ、終わりか。」】文章のルールとして「」内の文字の終わりの際は【。】はつけなくていいはずです。ご確認ください。
■まとめ
戦闘好きな人などは好む世界観だと思います。
ゲームとリアルが曖昧模糊でありながら、それがどこで繋がっていくかなど伏線も張られていて、一章のところのラストのあっと言わせるところなどは面白かったと思います。
トリッキーなところが多い作品なので、それを楽しむ読み手は多いかと思います。
タイトル・凪る嵐に光明を-
作者・雪風風兎
作品アドレス・https://ncode.syosetu.com/n0036fx/(なろう掲載)
ジャンル・異世界 地獄
■あらすじ
目が覚めると、そこは地獄!?
主人公、火野 凪(ひの なぎ)は青春真っ只中の女子高校生である。
そんな凪は気がつくと洞窟にいて記憶を探るが親友と下校していたとこまでしか思い出せない……。
そんな時に烏の妖怪、飛沫(しぶき)と出会いここが八大地獄だと知らされる。
(なろうの紹介文より引用)
凪編 第壱幕 八大地獄へいらっしゃい まで読んでの批評とになります。
■文章・世界観などについて
文章にスピードがあるため、十話まではさくさくと読めました。
展開も早いので、そこまで退屈することもなく、といって「しんどい」というくらい急展開でもなく、あっさりと読むことができました。
世界観が地獄ということで、なかなか斬新なところということもあり、なろうではなかなかみたいタイプで目をひきます。
とはいえ完全な異世界といえばそうでもなく、私たちの馴染みの地獄(馴染みというとあれですが)イメージはしやすく、世界観に入りやすいので難はなかったのかと思います。
またキャラクターについても凪が明るい子なので、くよくよしたところもないため、地獄にいっても物おじしないので読み手としては好感が持ちやすかったです。
作風としてはアニメの展開を意識されているのかな、というかんじでかなりさくっとしたところがあるので一話分にアニメを見る要領で作品を読むことができました。
■気になった点
文章は読みやすいですが、少しわかりづらい表現が目につきました。
たとえば
水たまりにつゆが一滴、周りに響き渡りそれと同じような音がそこら一帯から聞こえてくる。(01 見覚えのない洞窟より引用)
はじめにこの文章を見たとき、意味を理解するために私は二度、三度ほど読み返しました。表現としては幻想的な、出だしとして力をいれて書かれたことははっきりとわかります。が、申し訳ないのですが、理解しづらいです。
理由として一文にかなり量の情報をいれてしまっている、ということです。あと水たまりに落ちる露という文のあと周りに~というようにカメラワークが一気に広がったあと、また音という小さなところに戻ってきてしまい、何を言いたいのかが読み手に少し伝わりづらくなっているのだと思います。
文章としては簡潔に情報をまとめたほうが読みやすいかと思います。書き出しの一文が読みづらいのは即バックされてしまう恐れがあるので、特に注意が必要かと思います。
あとこちらの書き出しでヒロインの一人称だったのが、ちょっと時間の遡った現代では唐突に一文だけヒロインの一人称から三人称にかわっているところがありました。
かなりいきなりのことと、そしてそのあとまた一人称に戻っているので読み手は混乱をするかと思います。
ネット小説ではよくあるらしいですが、せめて一人称と三人称を変えるときはページ変更、その前にワンクッションなどを置くといった配慮が必要かと思います。
ヒロインについては可愛く、明るい反面、この異常事態にたいしてあっさりと受け入れすぎている(恐怖や葛藤が見られない)のが読み手としては逆に不安になりました。それだと何か悪いことが起こったり、騙されたりするんじゃないかという心配です。
出会った飛沫はいい人ならぬ妖でしたが。
この飛沫にしても、彼はとても優しいですが、いつの間に、そんなに仲良くなったんだろうというところと、あっさりと受け入れすぎているところもある、というのもありました。その点は彼の人格・設定された部分などがあるのかもしれませんが、はじめの地点ではそこまでは読み取れませんでした。
また、わりとあっさりと閻魔様に面会できましたが、たぶん普通はなにかしらの手続きとかいろいろといると思われるので、その点などは描写をわざと省いたのかな、と思います。
たぶん、ここらへんのがないのは作者が書きたいシーンを優先してアニメのカットみたいにさくさくと進めているのかなと思います。
ただそうすることでその世界観が伝わりづらい、ようは薄くなってしまうこともあるので注意が必要かと思います。
■まとめ
展開の早さは読み手にストレスを与えず、さくさくと読みたい人にはとても面白い。
戦闘のところでもかっこよさなど含めてあるので、読み手はひっぱられる。作品の舞台などは斬新で面白いと思います。アニメみたいな展開の早さを意識されているのもよいかと思います。
個人的に私は児童書の読みやすさを覚えました。
その分、世界観の説明がやや足りていない、読み手に伝わり切っていないところがあるというのは確かです。
ヒロインの一人称視点なので仕方ないところもありますが、あまりにも見え過ぎない世界観と進みが早すぎる展開では少しご都合主義さが薄っすらと見えますので、もう少し、ヒロインからの問いかけかキャラクターたちに説明をさせて「こういうもの」というものを読み手に伝えるとさらに読みやすい・わかりやすいと思います。
タイトル・一よさく華 -幕開け-
作者・八幡トカゲ様
作品アドレス・https://kakuyomu.jp/works/16816700427884874433(カクヨム掲載)
ジャンル・歴史(純和風 舞台は日本) ファンタジー・友情・恋愛
■あらすじ
様々な人間の、様々な思惑が蠢く中、その闇を懸命に照らそうと、「月」となった一人の少年がいた。
少年は青年となり、女に見間違われるほど華奢な体で、今日も刀を振るう。
自分の心を殺しながら。
すべては、この国を変えるために。
※私個人はあまり歴史ものを読まないことを伝えたうえで、とんちな批評でも寛大に受け取りますと作者さまに承諾をいただいて書いております。
■文章・世界観などについて
文章は読みやすかったです。
出来るだけ軽いテンポで、歴史が苦手な人にも読めるようにと作者様が心を砕いているのが読み取れます。
軽快な文章で戦闘シーン、キャラクターの苦悩や世界観などわかりやすく、また読みやすいように書かれています。
歴史ものでも難しい漢字の羅列が苦手(豊臣藩うんにゃらとか)の私でも楽しく読めました。
ただ、はっきりと日本のこの時代といった明白な記載がなかったので、これは【架空歴史もの】として読んでおります。イメージとしては幕末あたりかな、と思ってますが、違うよっていったご指摘があればこちらの勉強不足です。すいません。
はじまりから思わず読ませる展開、そのあと説明行い、読み手をどんどん作品のなかに取り込んでいくのはお上手だと思います。
読み手を飽きさせないための工夫をしっかり行っていられと思います。
■気になった点
文章ですが、全体的に読みやすさを重視するため、軽すぎるところもあるかなと見受けられます。
これは完全な読み手の好みで、カクヨムや若い世代はこちらのほうが好みかと思いますが、私はもっと硬い文章をもう少しいれても、この作品はとても栄えると思いました。
歴史ものといいますがキャラクターたちの口調がどちらかというと現代よりな軽さを感じました。
表現のなかに「ガタイのいい」「軽いノリ」といったように今の人に比較的理解しやすい言葉の表現がありました。それが歴史ものとして読むと意気込んでいた私からは多少の軽すぎるかな、という印象を持ちました。
また、スマホとパソコンで二回ずつほど読み返しをして思ったのですが二話のところなど街が出てきますが、具体的なところが端折られていてイメージが少ししずらかったです。
朝一から働くなら商い人の声が響いたり、朝餉のいい匂いがする・・・・・・という足のついた風景がはじめにないと街の人々だけではイメージが少し湧きませんでした。長編でははしょることもありますが、はじめの風景描写などは特に書いてほしい。この作品のテーマが「とある青年がこの国で弱い人が生きやすい世界(つまり、浮浪者が多いのか? 老人や子供・女に対して武士が圧をかけるのか。けれど、そのシーンはあったか?)」と私は読み返して思いました。彼は何が愛しいと思うのか、この街のどこが好きなのか、強者が弱い者を虐げているから弱い者を守りたいのか?(武器を集めて、戦争をしようとしているのは確かに恐ろしいことですが、それ以外で弱い者とはどこに出ているのか)という具体性が欲しいと思いました。それがつまりは主人公の決意の強さ・想いの強さ、そして読み手への説得力になるのだと思います。
作品の中で海軍はあんまり意味がない、ということも書かれていました(二話のところ)私は、これを日本と仮定して読みましたが、日本は海に囲まれた国、さらに小島が多く、海賊やら海での戦闘を仮定していることも多いのでは? と思いましたが封国しているので大船建造の禁とかがあるのかな。とぼんやり考えました。
ただ、こういう手法はドラマでよくありますね。
「歴史ものが苦手だから読みやすいようにキャラクターたちが現代の言葉遣いを行うことで読み手に理解しやすい」というやつです。
同じパターンで「一人のキャラクターがその歴史に行わない破天荒なことを行い、つっこみ役がこの時代の常識を説明することで読み手に理解してもらう」というやつです。
こちらの作品はあえて読み手を意識して前者をとったのかと思います。ので上にも述べたように好みの問題も関わってきます。
ただ機転である序の六のところで義孝が柚月に向けての軽薄な台詞のとき、少しだけ軽すぎるかなとは思いました。
ときどき比喩表現が独特なところがあり、一瞬想像がつかないところがありました。
たとえばですが
「空には、細く尖った月(第一章 序まり壱.此処からより引用)」
私はこの文章を読んだとき「三角の月があるってことかな?」と一瞬思いました。これは繊月または三日月のことかと読み返して思いました。
表現はとてもセンスがあると思いますが、読み手に理解できない場合は伝わらないこともあります。これはこちらの理解力のなさもあるのかもしれません。
作品中、視線がブレたことがあります。
たとえば
「柚月の声が、虚しく響く。
剛夕は、いたたまれなかった。(第一章 序まり六.山中の悪夢より引用)」
ここで一瞬視線が柚月から剛夕に移りました。その一瞬のブレで集中力が一端切れました。とくに追いつめられて、辛い柚月の視線で読んでいたので「おっ」という感じでした。
出来れば、視線はぶれないようにしたほうが読み手はより柚月に気持ちを沿わせて読めるかと思います。
第二章弐.ひときり二人 のお話はえらく改行を使用され、空白が多くありましたが、あれはわざとなんでしょうか?
一応、パソコンとスマホの両方でページの確認をしましたが、前の話から一気に空白が増えて戸惑いました。なにか作者さまの意図があるのかもしれませんが、そこまで読み取れず、申し訳ないです。
文章ルールの間違いかもしれない所をいくつか確認しました。確認してみてください。
「。」がついていることもありました。「」の最後は。は不要かと思います。ご確認ください。
… こちらは二つをまとめて一つとして使用するかと思います。ご確認ください。
第一章 序まり壱.此処から の都の~の書き始め、マス二行あいているようです。ご確認ください。
■第一章 序までのまとめ
はじめから何かあるというかんじではらはらとして読めました。それから「柚月」の抱えるなにか、それがずっと見えないまま、彼の苦悩や苦しみをちょっとずつ読みながら進めていくお話。そして歴史がどんどん動いていく。そのなかで知り合った椿のミステリアスさ。
悪夢からどんどん加速する辛い出来事のあと九のところで正体がばれることから始まる衝撃など含めて、とても演出がうまいと思いました。
■第二章 まとめ
こちらはいきなり突き落とされるような現実から這い上がってきた主人公が、だんだんと素を見せ始めたところがちらほらと見れました。考えることが若者らしいところや異国のような風景にはしゃいている様子、かんざしを見て大切な友を思い出すところ。はじめに夢という形で出すことで伏線として非常によく役立てていると思います。そのあと椿のことも出してきての、ラストの引っ張るところなどうまく作られていると思いました。
また雪原がとても魅力的に書かれているお話でもあると思いました。きっと彼にはファンが多いのではないでしょうか。
■まとめ
しっかりと読んでいただくために工夫をされているのが読み取れました。
またお話の出だしから、ラストのオチ(次へと引っ張るためのあげて落としてのストーリーの展開)は非常にうまいと思いました。
作品の雰囲気を出し方がうまいですね。
また主人公の苦悩や希望を持つところ、さらには雪原という魅力的な人物もきっちりと書き切れていると思います。
タイトル・異形ト化シタ極彩色世界ノ冒険譚
作者・ラジオ・K様
作品アドレス・https://kakuyomu.jp/works/16816700428673808393(カクヨム掲載)
ジャンル・SF
私個人はSFが苦手、というのもお伝えした上で批評を書かせていただきます。
また作者さん個人からの依頼は無名ノ都シ(2話目)を読んでほしいというので、メインはこちらです
■文章などについて
読み手を期待させるのはうまい。
文章遊び、というか、文章での表現を意識されていての改行などを多用しているので、この方は電撃文庫などが好きなのかなぁというところです。そこらへん、うまく出来ていると思います。
また作品のゆるいところとシリアスなところなどメリハリをうまく考えて書かれているところなどはうまいと思いました。
世界観なども演出がうまく、いくつかのレビューで書かれているように「コズミックホラー」といえば確かにそうだなと思うところもあります。
そして、このお話は好きな人はものすごくはまる。
万人受けというよりも、コアな人たちがすごく好きっといって読んでしまう中毒性のある作品だと思います。これはとても素晴らしい武器だと思います。
私は自分のスマホとパソコンの双方で作品を読ませていただきました。
個人的にこれを読むのにスマホは向かない、という結論です。
上に書いてある文字遊びですが、読む母体が変わるとせっかくの演出が失われる。また情報量が多く、ルビが多いので個人的にはスマホだと読み切れないというのがありました。パソコンのほうがより快適です。
世界観などはとてもぎゅうと詰め込んで作られていると感じます。面白いし、タイトルもそうですが、出だしの
>醜い、カビのような極彩色に覆われていた
>そこは海の底。深い、ふかい、ゆめのなか
など設定と言葉選びなどはセンスがあってかっこいいと思います。これはベテランでもなかなか得られないものなので大切にしてください。輝くものがあります。
個人的に断章の戦闘から覚醒のくだりなどははらはらしてかっこよかったし、くるものがありますね。
あそこらへん、私は読んでいてすごく楽しめました。本当にお上手です。
第一章から第二章まではわりとさくさくと序章を読んだあとは読めました。雰囲気を味わいながら読むことが出来る作品だと思います。
■個人的に気になった点
完成度は高いので、これは本当にただの個人の好みになってしまうため、あまり気にしなくていいです。
どちらかというと、本編のヒロシに至るまでが私は長く感じました。
だから先に「こういうお話」というのを序章で出して、そのあと?章、断章を出しているのかなとは思いましたが、あらすじにあるヒロシまでの出番が長く感じてしまう。思わせぶりなのは読み手に期待をもたせていいのですが、それが何度も繰り返される(ページの前にいくつかの引用あり)が多いとじれます。
個人的に丁重に世界観を書くことに心を砕かれ、見せたいシーンまでがやや長くなってしまっている傾向を覚えました。
作品中、メタ神視点(三人称 序章のあれ)、一人称(序のヒロシから僕とページの間に視線の切り替え)、三人称(断章そのあと一人称となりましたね)を使用しているのはわざとでしょうか?
以前、ネットではページを変更することで一人称から三人称変更もたびたびある、というのは聞きました。私の批評は本(紙)をイメージしているので、そういう意味でやや斜め上な指摘になるかもしれません
かなり視線がかわって読む集中力が結構な頻度で切れました。たぶん、SFやネット小説を読み慣れた方は大丈夫なのかもしれませんが、私はその点には苦痛を覚えました。
これについては作者が承知のうえでわざとしているところ、狙いなどもあるかと思うので、真に申し訳ないのですが、こういう読み手もいるんだなと思ってください。
「…」と「―」は2個ずつ使うのが文章のルールではあります。
作品中「・・・」と三つになってました。
また改行後の一マス開けるが、ところどころで出来ていないところがありました。執筆をWordやメモ帳でして、貼り付けを行うとそうなることがあります。一度確認してみるとより読みやすくなるかと思います。
作品中で 「「?」」 を多用されておりますが、これは最近出てきたものだと思います。私も使用はしますが、あまり使いすぎると安易になります。また、この「「」」は客観的重なりにのみ使用するほうが読み手の視線がぶれないかと思います。
断章のところで、覚醒、遁走。で「「!?」」とありますが、こちらについては敵側と視線側(アダン)でよろしいのでしょうか? 確かに味方と敵の双方が驚いている、という表現としてはわかりやすいですが、敵と味方の思考がそれぞれシンクロする図は、読み手の視線がブレるかと思います。こちらの手法はどちらかというと台詞がかぶったときに使うほうが読み手としてはわかりやすいかと個人的には思いました。ここらへんは好みですね。
断章から一章が軽く、少し私としてはだるさを覚えたところはあります。
■無名ノ都シ について
イメージとしてはホラー作品で元ネタがわかるとすごく面白いと思います。
私はこちらに関してはとても面白いとして読まさせていただきました。SFが苦手でも、読めると思います。
私は個人的にクトゥルフなどが好きなので、この作品はそういうのも意識されているので面白かったです。
ただネタとして参照にしている作品はほぼ知らなかったので、的外れな意見をいってしまっていたら申し訳ないです。(作者が気付いてほしいオマージュなどのところについては読み取れていないと思います。こちらの勉強不足で申し訳ないです)
出だしから掴んで、どんどん進めるところなど面白いと思いますし、ホラー展開のところは、きちんと怖い。
ラストのコズミックホラーチックなところも読みごたえとともに読み手の満足感を得られるつくりだと思います。
■まとめ
設定などについてはとても面白く、アイディアに溢れる作品だと思います。非常に好きな人にはツボにはまって読ませる雰囲気はあります。そういうのは才能なので大切にしてください。
タイトル: 転生者を匿ったら指名手配犯になりました
作者: 壱足壱 葉弐
ジャンル長編 現代ファンタジー
掲載アドレス: https://kakuyomu.jp/works/16816452219385236888(カクヨム掲載)
あらすじ
転生者は人を殺す。それが世間の一般常識だった。
他の人間と同じようにその常識を信じていた紘彰は、突然現れた転生者に「遺書を書かせてくれ」と願う。
けれど、返ってきた言葉は予想だにしていないもの。
本当に転生者は人を殺すのか。殺すならなぜ殺すのか。
その理由を知るために紘彰は転生者を匿うことに決めたのだった。(カクヨムの紹介文より引用)
■文章・世界観について
丁重に、世界観を説明しようとしているところなど含めて、好感の持てる安定さのある文章だと思います。
一人称であるため、主人公の視線を通して、この世界を知っていく、というので読み手は知らないことを主人公、ヒロインを通して知ることになるのですが、丁重に書かれているので理解しやすい。そしてこのお話のテーマである転生者についての疑問も文章のところどころに含まれているため、「ただの転生ものと少し違う、なにかある」という期待を寄せやすいと思います。
独特な用語や歴史、都市についてもよく設定をされていると思います。現代なのに少し違う、ということで読み手は想像力を刺激され、読むのにわくわくとした気持ちになりやすい。
また転生チートものが流行っているネット小説の「流行りとは少し捻ったところで勝負しよう」というチャレンジ精神も読み取れました。とても面白い試みだと思います。
■気になった点
設定はとても面白いし、読ませてくれる。ただ、その分、小さなところで「ん?」と思うところがありました。
1話目で主人公は家に帰るといいますが、交通機関がストップしているのに、どうやって帰るつもりだったんだろう。とか、怖いものといいながらも避難する必要があるのにかなり呑気さな対応じゃないのかというやりとり。(それは5話目までのところまで読むと少しずつ違和感として覚えます)
あとヒロインの描写ですが、もう少し丁寧に書いてあげたほうが読み手はヒロインに好意を持ちやすいかと思います。
現代ファンタジーということで周りの風景に対する描写を省いているように思いました。もう少しだけ欲しいところです。
周りの建物といったものの風景描写、主人公の心理面の描写をいれてみるとさらに読み手が興味をそそられるかな、と思います。
■各エピソードで気になったところをまとめました
・1~5話まで
世界観の説明からヒロインであり、再転生者と会う主人公。主に世界観の説明に心を砕かれていると思います。
ヒロインとの出会いのシーンなど、怖いし、どきどきするところなどシーンとして鬼気迫るところも含めてよかったと思います。そのあとのカップ麺を食べるところなどでほのぼのしている。とくにカップ麺でジャグリングしているところは可愛さがありました。
話の進みにたいして、話の展開がやや遅いというところが気になります。
ヒロインとの出会いよりも、この世界の説明に文字数を費やしてしまっているところが見られます。
とくに1話目で地の文(冒頭)での再転生者についての説明、そのあと主人公たちの会話での世界観のひきずりはうまいのですが、どちらかというと、説明が丁重すぎてくどさを覚えます。いっそ、はじめの再転生者の地の説明を省くほうが読み手としては期待を持ちながら、唐突な主人公の理不尽な様子にあっといわせられるかと思います。
転生音や転生者予報といった独特な世界観を味合わせる言葉など魅力的ですが、それをいちいち説明すると同じくくどく感じます。
読み手への親切さを感じますが、そうした説明はヒロインと主人公が説明するシーンでも十分できます。むしろ、そこで読み手はヒロインと同じ立場で主人公の説明を聞き、理解することでヒロインと同調する(ヒロインに感情を入りやすくなります)などの効果が狙えるかと思います。
謎の単語をぱっと出すと不親切かも、と不安があるかもしれませんが、問答無用で読み手の背中を叩き込んで味合わせる手法を使っても、この世界は十分に面白いと思います。
あと気になるのが主人公の感情が少し読み辛い。とくにヒロインをあまり葛藤さを感じずに受け入れてしまっているように覚えます。せっかく1話目で、さらに一人称で鬼気迫る演出のあと、少し肩透かしです。もう少し主人公の感情を出すことで、読み手の同調を狙ってみてもいいかと思います。
気になったのは【転生した人が再度こっちに戻ってきた】と全員が認識しているのに5話目で「やつらはこの世界の常識を知らないんだよ。人前で能力と思われるものを使用したらすぐに通報されることをやつらは知らない(5話目から引用)」というエイリアンを相手にしているような台詞です。
前提を踏まえるなら【この世界の常識を知っている・その上でどのような状況下において能力を使用するか(転生時に正直不安定さからか、または性格の変貌か、世界移動による何かしらの精神・肉体の変化が見られる)】において状況判断、作戦行動をとるはずです。またその転生した人物の【転生期間(一ヶ月だけ向こうにいき戻ってきた、一年、二年、十年単位)】においてのこちらの常識の欠落によっても対応は違うかと思いますが、それはさすがに判断は難しいでしょうが、危険度においてある程度は判断できるのではないかと作品を読んで推測しました(危険度が高い=異世界にいた期間も長く、能力の取得が予想され・常識の欠落も期待できるため、こちら側の誘導(挑発)にのりやすい)。
せっかく転生庁本部という魅力的な対応班がいるのに、上の台詞などを口にしてしまうと、再転生者へという設定が少し可笑しく感じます。
■6話目~10話目
ここから作品の語りが三人称となっています。
ヒロインと老人のやりとりで【この世界の違和感】を読み手に与えるための非常に重要なやりとりが流れてきます。その重要性に対してどこかほのぼのとして気持ちが柔らかく老人とヒロインの会話など含めて、優しい雰囲気を与えきます。
ここではコーヒーが苦手というヒロインに「人間性」を感じられるところで非常に大切なところだと思います。
ただ唐突に主人公の一人称から三人称に変わった、というのは読み手が驚きます。視線の変化に耐えれない人はここで読むのを辞める可能性はあります。
ここのシーンをどうして三人称にする必要があったのかを改めて書き手は考える必要はあるかと思います。ここで主人公も一緒についていくことでヒロインとの接する、世界の違和感にも一緒に気がつくことができたのではないでしょうか。そうしたくない理由があるとして、それは作品の伏線となるのか、私はそれらに注目させていただきました。
ただ出来る限り一つの作品では語りを変更はすすめられません。
理由は
・視線が変わることで読み手が混乱し、作品から離れやすくなる
・主人公がそのとき何をしていたのかわからないため、突き放される感覚を覚える
・一人称が語る必要性がなくなってしまう
一人称では語りきれないシーンを時として【私がいない間、こういうことがあったとのちに聞いた】などの前振りでいれて変更するなどはプロの作品でもあります。(私もそういう書き方をしたことはあります。一人称ってなかなかに大変なんですよね!)
ただそうするのは、別行動をとっていた、主人公がどうしてもいられなかったなどの理由があります。不用意に変えずることは極力避けるとよいかと思います。
■10~15話目まで
ここで主人公、佐多に暴露するの巻。
佐多の反応は、わりと普通だと思います。この世界の常識人として主人公と差を見せつけるにはいいと思います。
こんな秘密を話すっていうのはひどいという反応も頷けます。そのわりにヒロインに会おうとしないので関わらないのか、と肩透かしをくらいました。あれだけ非難しても面白いことがあれば聞きたいというのも、準レギュラーくらいかと思えば、違うのか? というので、せっかくの危機感があったと思えば、面白がるところもあって危機感として薄いてのばいなかと思います。
13話目「喧嘩にも似たような言い合いをした二人は」→一人称に戻っているはずなのに、三人称となっています
そして、ここでまた14話目で視線が変わります。危機感を出すために転生庁のパートで出てきます。シリアスなところがあって非常によいと思いますが、あえてここで主人公たちのパートから、こちらを差し込むことでの読み手への視線の切り替えによる苦痛、話としての進みのテンポが遅くなってしまうこともあるかと思います。
■16~21話目
16話目は唐突にインタビューとそのあと特別な転生庁の人物について、そして現時点で主人公たちとの合流パートです。インタビューのところとかその人物を特別に扱っているというのでわかりやすいですが、視線の変更からのこちらの出だしなのでやや読み手は置き去りにされた気分となります。
ここでの戦闘シーン、非常に白熱していると思いますが、やや理解しづらいところがありました。
理由は一人称・三人称がまじりすぎている、という点があると思います。
あともう少し行動・風景の描写が欲しいところです。
個人的にキャラクターの容姿がやや描写が足りていないと思いました。ここで出会った再転生者についても「翼のある化け物ぽいもの」と思っていたのでモンスターぽいのか、男なのか女なのかもイメージがまとまらなかったです。
転生庁のシリアスシーンなど含めて、ここではかっこいいし、活躍しているというので好感が持てます。
20話目~21話目のヒロインの受けるショック(助けられなかったこと)とそれでも諦めない強さ(私は化け物なのかな?と問いかけるシーンは非常にぐっときます。このばたばたの戦闘シーンがあってこその哀愁の漂いはすごくいいです)
なので非常に絵として見せることは出来ていると思います。これはいい武器なので、その点は大切にしてほしいと思います。
■総合感想として
設定などは魅力的であるし、ちょっとずつ作品に違和感をいれていくことで読み手を引きつけることには成功していると思います。
文章についても軟らかさがあるので、読みやすいです。
21話目までの区切りとしてヒロインの失望から希望をきっちりと書いてあるところなど非常に絵としていいものがありました。
その文、作品に頻繁に一人称・三人称を変えることで読み手を混乱させてしまうところ、転生庁の活躍が書かれているため、主人公がかなり置いていかれてしまうところが多く見受けられてしまいせっかくの一人称なのにお話の外側みたいな立ち位置(一般人としてヒロインを支える立場である重要性はありますが、もう少し絡んでいきたいところですね)になってしまっている点が非常に残念な点です。